全部光ってみえる 息子との生活

育児ブログです。4歳の息子との日々。

母親の孤独とチンパンジー

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残暑厳しい毎日ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

夏の疲れが出ていませんでしょうか。

私は出てます。

もう40歳、疲れは即、体調不良になり、鏡以上に自身の老化を私に突きつけます。

そして、体調が悪くなったとしても休めない。休みたい時に休めない、寝たい時に寝れない、食べたい時に食べられない、ほぼ24時間自分のペースで行動できない、それが育児。辛い。

多少はまあ、休めたとしても、休んだ分の家事育児仕事は後日の自分が請け負うわけで、休んでいたって気が重い。それが育児。大変。

 

先日、同僚と話していて、

「なんでこんなに育児って大変なんだろう。母親への負担が思っていた以上だし、なんかもう産んでから根底ではずっと孤独。子どもと檻に閉じ込められている気持ちになることがある。息子のことは大好きなのに逃げ出したくなることがある。私は育児に向いていないと思う」と愚痴ったところ、

同僚が「チンパンジーは子どもが5歳になるまで母親が付きっ切りで育児して、下の子を産まないんだよ。妊娠できないの。じゃあなんでチンパンジーと同じように付きっ切りで育児する人間が毎年出産することが可能な身体に進化したかわかる?」

と。

同僚は生き物に詳しい。お父様が獣医学部の教授だったのと、お子さんが生き物好きでお家で犬、猫、インコ、リクガメ、ザリガニ、メダカを飼育しているうちに詳しくなったという。

 

私「さあ、なんでだろう?チンパンジーの5年間隔がちょうどいい気がするけど。上の子が5歳なら手も離れてるし、下が生まれても大丈夫かなって」

同「だよね。付きっ切りで育児してるとそう思うよね」

私「うん。なんで毎年産むようになったの?多産でも生き残らなかったら繁殖しないじゃん。毎年産んだって育てられないよ」

同「人間超繁殖してるでしょ」

私「うん。多産に進化して成功してるね」

同「チンパンジーだけじゃなくて、出産は、ゴリラも5年に一回、オラウータンなんて7年に一回だよ。ニホンザルさえ2年に一回しか子どもを産めない。人類だけが毎年産めるようになった。共同育児をするようにシフトチェンジしたから」

私「共同育児?へ〜みんなで育てるようになったから毎年産んでも育てられるようになって人間って繁殖したんだ」

同「人間って知能が高くて脳が大きいからから、他の動物に比べてめちゃくちゃ未熟な状態で生まれくるでしょ。立てない歩けないどころか首も座ってない、誰かが24時間面倒みないとあっというま死ぬ存在。すごく手がかかる。それなのに毎年産んで母親だけが面倒みてたら、繁殖どころか種の維持ができなかったと思うよ」

私「そもそも人類の母親は1人で育児するようになってないってこと?」

同「そう。みんなで育てるようになってるの。だから1人での育児が大変なのは至極当然の話。集団で生活しているのに1番大変な育児を母親だけに任せるなんてとんでもないことだよ」

私「集団育児しなくなって、母親だけに育児の負担がいくようになって、子どもが生まれなくなって、私達はどんどん減っていって滅びるのかな」

同「よっぽどの巻き返しがなければ割と早く滅びるかもね」

私「そっか、ちょっとさみしいね」

同「育児だけじゃなくて、私達は、共有、共感、受容を選択して集団を作って繁殖したんだから、それができなくなれば滅びるでしょうよ」

私「育児の愚痴の結論が人類滅亡」

同「それだけ、母親1人の育児は無理があるってことだよ。どんどん愚痴りなよ」

私「ありがとう」

 

産後鬱、自殺、虐待、過労死、ニュースだけじゃなく身近な人からそんな話を聴くことがある。

育児は1人でするものじゃない、本来助けが必要なものだと知っていることで、周りに助けてって言いやすいんじゃないかな。

1人で育児できないことをダメな母親だと思わないでほしい。

 

 

慌ただしい夜の育児 お風呂上りから寝付かせまで

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夜8時。

バタバタとお風呂から出て、バスローブを着て、息子の体を拭いて、息子と自分に保湿剤を塗って、「パジャマを着てね」と言い置いて洗面所に自分の髪をドライヤーで乾かしに行って、麦茶をコップに注いで寝室に持って行き、「遊んでないでパジャマを着なさい」と言って、「お母さん、怒ってばっかりだといけないんだよ。怒ってばっかりのお母さんの子どもはだいたい意地悪なんだよ」と言い返され、「パジャマを着ないで遊んでいると風邪をひくからパジャマを着なさい。今すぐに」と息子の目を見て低い声で言う。

グズグズとパジャマを着る息子の爪を切って、パジャマを着た息子を「パジャマ着たね」と抱きしめることで喘鳴と体温をチェックし、背中にホクナリンテープを貼る。

洗面所に行って息子の歯磨きを見守り後に仕上げ磨きをして、寝室に戻って麦茶を飲ませて、「今日はこれと〜これと〜これを読む!」と息子が本棚から持ってきた『くらべて図鑑』、『小学館neo 昆虫図鑑』、『ぼくのトイレ』、『ねるまえに』『田園の生き物 タガメ』を読む。

「さあ、そろそろねんねの時間だよ〜電気を消すよ〜」と電気を消して、電気を消したからといって全く寝る気がない息子が背中に跨り「トランスフォーム!!」と言っているので「寝なさい」と言い、「お母さんが怒ってばっかりだと僕の心の中が嫌な気持ちになるよ」と返され、「怒ってないでしょう?しなくちゃいけないことがわかってないから教えてあげてるの。寝る時間だよ」と言い、「ちょっとその言い方意地悪だよ。お母さん、意地悪だよ」と言われ、目を固く閉じて寝たふりをし、まぶたを指でこじ開けられても動じず、ヨガの死体のポーズを崩すことなくただ時間が経つのを待ち、息子が寝息を立てているのを確認して、パジャマの裾をズボンに入れ、そっとタオルケットをかけ、寝顔を見て、ぷくぷくした頰、長いまつ毛、この子はなんてかわいいだろう、この子の未来に幸あれと胸を熱くする。

 

風呂から上がって寝付かせるまでの1時間半ほどの慌ただしさ。

本来ならば、疲労回復する時間である入浴、就寝が労働というわけのわからなさ。

疲労が回復しない。

基本的にずっとしゃべってるし、脳も休まらないし。

1日会社で働いて、家に帰っても働いて、毎日毎日毎日やってられんねぇんだよこんちくしょう!と思うけど、息子はかわいいし、彼の幸せのためならできること全部してあげたい!という気持ちもあり、疲れた体に鞭打って今日もなんとか走り抜けるわけですが、寝付かせ終わった後にシンクにある汚れた食器を見ると無になり、もう母でも会社員でもない無になり、ああ、フローリングが冷たいなとだけ思って、次の瞬間すーっと消えそうになる。

 

もう全部明日にして寝よう。

誰も言ってくれないけど、お疲れ様。

 

 

子どもの成長

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息子はもうすぐ5歳の誕生日を迎える。

もうほとんど手がかからない。最近は、育児というより私と息子の関わり方の問題と言う感じ。

赤ちゃんの頃は、私が与える100%、息子が受ける100%、世話する側世話される側が非常に明確だったけれど、今はもう人と人が一緒に暮らしているって感じ。

それが楽な部分でもあり、新たな問題の発生源でもあるのだけど。

この家のボスは私だと声を大きくして、息子を親という立場を駆使して思い通りに動かすことは避けたい。

しかし、守らなくてはならないルールや社会性を身に着けてもらうため、彼自身の自立のためには、親という立場を使って躾けることも必要だし。

難しい。

慌ただしい日々の中で、息子と対峙するには心身に余裕と力が必要で、そんなの残ってないしもうヤダ、全部ヤダって時も多くて、支配してはいけないと肝に銘じているのに、支配出来たらどんなに楽だろうと悪魔が囁くこともある。

息子のためというより、後が大変だから後で自分が大変だからと踏みとどまっているに過ぎない。

大好きなのに、ごめんねと思う。

いつも余裕がなくてごめんねと。

 

それにしても子どもってどんどんどんどん成長していくから、育児に慣れるってことがないというのは、物凄く疲れる。

いつも初心者の気持ち。

いつもこれでいいのかな?もっといい方法があるんじゃないかな?私はこの子に間違ったことをしていないかな?と悩みながら、孤独に悩みながら前に進んでいかなくてはいけない。

物凄くエネルギーがいる。

 

3か月前の息子と今の息子が当たり前だけど違う。

同じところもあるけど成長している部分があまりに多くて驚く。

毎日「すごい、こんなことがもうできるの!」と驚いている。まるで盆暮れ正月にだけ孫に会える祖父母のように新鮮に毎日驚いている。

そして「お母さんてさ、すぐ驚くよね。それバカっぽいからやめた方がいいよ」などと言われる。

確かに私はよく驚くから、あまり賢そうには見えない。

ふふふと笑う。

あなたの成長がどれほど素晴らしいか、私にこの世界を美しく見えるか知らないのねと思う。

 

子ども成長ははやい。

特に赤ちゃんの成長のスピードはとてもはやい。

一か月月齢が進むだけでできることがまるで違う。

だから育児がとてつもなく大変なだけど、それでも一人の人間の成長を間近でみていると、生命に対する畏怖の気持ちが湧いてくることがある。

命は素晴らしい、世界は美しい、森羅万象に感謝みたいな、狂人と紙一重みたいな命への賛歌が胸の内から湧いてくる瞬間が確かにあって、なんかすごい。

育児って大変だし、もう本当に大変だけど、めちゃくちゃ言葉にならない、クスリをきめたレベルの高揚感とか結構あるからね。

だってめちゃくちゃかわいいよ。

もうずっと約5年間毎日かわいいって心から思う。胸が苦しくなるくらいかわいい。

大好き。

 

まあ人それぞれだけど、子どもがいるのにたらたら仕事して、奥さんの愚痴とか言いながら不必要な残業して、育児丸投げにしてる同僚とかみてると、本当にそれでいいのかお前と思ってしまう。

仕事もあまりできるは言えず、家庭からも逃げ、残るものは?生きてる意味は?全部自分に返ってくるのに?とか考えないのかな。

考えるわけないか。

 

 

育児書は本当にたくさん読んだけれど、乳児期に一番参考にしたのは、 松田道夫『育児の百科』。岩波書店の内容説明もあつい。

 

育児という道の体験で日々不安に直面した多くの人々が本書によって導かれ、勇気づけられてた。開業医としての経験の蓄積と内外の最新の医学書に目を通して改訂を続けた不断の努力による本書は、単なるハウツー本ではない。最晩年まで社会的活動を著者の仕事の集大成であり、平易な言葉で書かれた思想の書である。(全3冊)

 

 

息子との生活の記録

4年前に息子を産んで、それまでとは全く違う子ども中心の生活を送るようになり、生活が変わればおのずと考えも変わったり、変わらないところもあったり、幼い愛おしい我が子を生かすことを第一に送る生活はいつも駆け足で止まることなく、止まれば死ぬかもしれないくらいの気持ちであれよあれよという間に時が経ち、あっという間の4年のような、長い長い4年のような。

あまりにもいろんなことがあったのでもう時間の感覚がわからない。

そしてそのいろんなことをどんどん忘れていくからここに少し記録を残そうと思いました。

もう一個ブログを書いていて、そっちは自分のADHDとか、夫の双極性障害とか、実家のやばい両親の話とか、前の結婚の話とか、私の人生のダークサイドの話が中心なので、こちらには息子との穏やかな愛に満ちた生活を書いてバランスをとろうかと思います。

 

実際、愛に満ち満ちているので。

 

息子といると世界の全部が光ってみえる。

後部座席に息子を乗せた電動自転車できらきらの世界を疾走する。

彼が私から離れても真っすぐのびやかに生きていける日が来るまで。

 

 

 川上未映子『きみは赤ちゃん』は、妊娠中に読んで、え、育児ってこんなになるんか…と衝撃を受けた。産後のメンタル、夫との関係、きれいごとなしで書かれているので、父親となる人、なった人にも読んでほしい一冊。